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TransToach

Toachによる小説イラストブログ。 TS物を中心に書いていこうと思っています。 ばらばらに書いているので、 まとめ読みする時は小説一覧からどうぞ

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事件発生!

「牛男だー!」「逃げろー!」

最近街に怪人が出る、という噂が広まっている。なんでも5メートル以上もある巨人だそうだ。



「だから、それはさー…ん?」

大学の友人と街を歩いていたケイゴは、ひとつ向こうの通りが騒がしいのに気づいた。見ると、轟音が鳴り響き、そちらの方から次々に人が逃げてきている。

「な、なんだ?」
「なんか、やばそうじゃないか?ケイゴ」

昼下がりの商店街。平和だった空気が、一変していた。大勢の人々が、逃げてくる。しかしケイゴたち同様、何が起こっているのか分からず立ちつくしている者も多くいた。

ドンッ

「でぇええええ!?」

ケイゴの隣に立っていた、商店の壁に大きな亀裂が入る。あわてて踵を返したケイのすぐ脇を衝撃波が駆け抜ける。

ガシャァアアン!

商店の道向かいの店のショーウインドウが吹き飛ぶ。商店の壁には大きな穴が開き、ガレキの山と化した通りが見える。その中に、2メートル以上はあろうかと言う大男が立っている。そして…その頭部には、大きな二本の角。大きく伸びた鼻、太い舌。牛の頭の巨人が、こちらをにらみつけている。

(目が、あった!)

『あっちだ!建物に隠れろ!』

言われるよりも速く、ケイゴは駆け出していた。牛男がこちらにくる前に、視界から消えるべく、手近な店の中に入る。店主はすでに避難したのか、店の中に人の気配はなかった。

(あの狼男と同じだ…)
『ああ。おそらく、同じものだろう』

ケイゴの頭の中に、直接声がひびく。

「お前、知っているのか」

ある事情があって、ケイゴの体には同居人がいる。というより、抜け出す方法を忘れて、居座られ続けている。

『これ以上被害が出る前に、なんとかしないと』
「お、俺がやるのか!?」
『というより、今は、君にしかできないことだ。あの怪力を見ただろう』
「いや、だって俺は…」

『君は以前、狼男を倒した。あの力があれば、不可能ではない』

「あの時は…なんか変な格好、してたじゃないか?今は全然、普通だぜ」
『だが、私がいる。必要ならば、君をあの時の姿に戻すことができる』

『あの牛男、あれだけの力だ。下手をすれば、大惨事になるだろう』

『これ以上被害が出る前に、対処しよう。何度も言うが、君にしかできないことだ』
「…」

逃げまどう人々の、恐怖におののく顔。怪我をして、動けずにいる人。その人をかばい、その場に残っていた勇敢な人。

「…よし。わかった。また、二人で戦おう」

『ああ』

小説 一覧

[[ダイオキシニック・スーパーヒロイン ホルモンガール]]
[TS物][ヒロイン]性転換スーパーヒーローもの

第一話 ホルモンガール誕生

第二話 街の平和を守るため

[[短編]]

変身、ドギーガール!

ほうほうの呈で逃げおおせ、ひと呼吸をつくケイ。
スーツは泥だらけ、端正な顔やはだけた胸元には汗が光っている。

「ど、どうするんだあんなやつ!近寄った途端おだぶつだぜ!」

『ああ、えらい荒れようだったな。どうやら子供を探しているようだったが』

「言葉が分かるのか?」

『ああ、それなりにな。それより、どうだろう。代わりに子供を探してやって、説得するというのは』

「うーん…良い考えだとは思うけど」

ケイは、顔をくもらせて考えこんだ。美女と言って不足のない顔は、そうすることで一層魅力的に見える。

「説得なんてできるのか?そもそも、どうやって探すんだ」

『探すだけなら…この間手に入れた能力が、使えるかも知れないな』

「何のことだ?」

『この間の狼男を、吸収しただろう。気づいていなかったか?』

「う…そういえば」

忘れようもない、初体験?の時でもあった。生々しい快感がフラッシュバックして、ケイは思わず身震いする。

『気づいていたと思うが、君はあれから、彼の遺伝子情報を利用できるようになっている』

「環境ホルモンの次は遺伝子操作か…なんか一人公害!って感じだな」

『それは君のことだ』

「お前だろうが!…それで?その遺伝子ってやつは、どういうことなんだ」

『簡単なことだ。私が蓄積している遺伝子情報を、君に反映すればいい。変身と同じだ。そうすれば彼なりの…そうだな、鋭敏な嗅覚などが得られるだろう』

「なるほど、それであいつの子供を探す、ってわけか」

『そうだ。やってみる価値はあると思うが』

「そうだな。…負けるつもりはないけど、戦わないで済むならそれが一番だし」

『よし、では早速準備しよう』

そう言ったかと思うと、ケイのまとっているホルモンスーツがとろり、と融解する。

「うぁっ!…な、なんだ」
『遺伝子情報の反映を始めた。少し刺激があるかも知れない』

融解したスーツはケイの全身を這い回り、言葉のとおり、触れた部分がちりちりと刺激される。びく、びく、とケイの豊満な女体が震える。

「くっ、もっとやさしくしろよ…」

『そういう趣味が?』

「ね、ぇよ…あっ」

スーツはすっかり溶けて紅いスライム状となり、裸になったケイの身体にびったりまとわりついている。ひざが折れそうになるのを必死にこらえるが、やがて白い両頬が上気してくる。

「う、動くな…あぅ」

『もう少しの辛抱だ』

スライムはケイの頭部と、丸い大きな尻に集まりはじめる。敏感な尻でもぞもぞと動かれては、ケイは気が気ではない。

つくべき場所を見つけたスライムは、やがて紅から灰色に変化し、はっきりした形を作っていく。ケイの刺激もおさまり、ふぅ、とため息をついた。

「終わったか?」

『ああ。これで君の嗅覚は強力になっているはずだ』

言われて集中してみると、様々な種類の匂いが感じとれる。それも、匂い元との距離や方角まで、まるで頭の中にレーダーがあるかのようだ。
「おぉ、すごいな。…ところで、こりゃなんだ?」

ケイが指差しているのは、自分のお尻の部分。先ほどまでとは大きくイメージの異なるグレーの、ベルベットのパンツから出ている、ふわふわした…しっぽ。

『見ての通り、しっぽだが』

「見ればわかる!なんでだ、って聞いてんだ!」

『遺伝子を反映させると、そうなってしまうんだ。ついでに耳も増えているぞ』

「ええっ!」

言われて頭に手をやると、確かに、もともとの耳より頭頂部のほうに、これまたふさふさ三角の耳が二つ。合わせて四つ。

「い、犬か…?」

『いや、狼だ。聴力も上がっているし、追跡にはもってこいだろう。』

『ホルモンガールチェイスモード、…名づけて、ドギーガールだ』

「やっぱり犬じゃねえか!あと俺はガールじゃねえ!ホルモンはお前だ!」

『じゃあ君はなんなんだ』

「ふつうに男だ!!」

ホルモンガール第一話 [ホルモンガール誕生]

ダイオキシニック・スーパーヒロイン誕生!

数日後

結果から言うと、ケイゴはもとの体に戻れていた
同居人を叱りつけ、とりあえず1からもとの体に変形しなおす、という方法で

「だからここはもっと大きいって言ってんだろ!」
『…本当か?見栄を張っていないか?』
「嘘ついてどうすんだこの環境ホルモン野郎!」

写真の記憶と誇張を頼りに、ケイゴはもとの体と生活を取り戻していた
あの時の経験は、ケイゴだけの記憶の奥にそっとしまうことにした

スーツの方はというと、ケイゴと分離する方法だけは見つからず、
かと言って放り出すこともできず、相変わらずケイゴと同居を続けている

しかし、この街に、人類にふたたび危機が訪れたとき、
私たちのダイオキシニック・ヒロインは再びその姿を現し、
ダイオキシンを撒き散らし、悪を蹴散らしてくれるだろう

戦え!僕らのホルモンガール!
行け!我らのホルモンガール!

「ホルモンガール言うなー!」

ダイオキシニック・スーパーヒーロー

「あ…」
気がつくと、狼男が消えていた
愛着が沸いたわけではないが、何かものさびしい気がして、ふっ、とつぶやく

「消えたのか…」
『消えたわけではない、私と君で吸収したんだ』

「うわ!いたのか」
『ずっといたさ。お楽しみ中は野暮かな、と思ってね』
『それに私も自分との交流を楽しませてもらったし』
「変態…」
『そっちこそ』

「…ところで、俺はいつ元に戻れるんだ?」
『…それなんだが』

『離れることができない。さっきは必死だったんで、一体どうやったか覚えてないんだ』
「…!?」

『どうだ、ひとつ、二人で生きていかないか』

『外に連れていってくれ。ここから出たことがないんだ、興味がある』
「な…ッ」

『それに、ケイゴ君。君となら、きっと良いコンビになれそうな気がする』

『そう、今日から君は』

『スーパーヒロイン、ホルモン・ガールだ』

濡れ場フィニッシュ

「さぁ、来い…」
緊張と恐怖でまともに顔が見られず、狼男から背を向け、尻を突き出して誘う

くち…っ

「はあん…っっ」
誘われるまま、入り口に押し付けられた亀頭から、全身に甘い痺れが走る

つ、ずぷっ

「はぅっ…あぁぁぁっ」
(こ、こんなに…!)
一気に貫かれ、脳天まで突き抜けそうなほどの快感に、ケイゴはたまらず地面に頭をつく
「あ、あ、あぁっ、やばい…」

ぱん、ぱん、つちゅ、つちゅっ
狼男はそのまま、身体ごと尻に打ちつけ、深々とケイゴの女体をえぐっていく
リズミカルに繰り返される音に、次第に水音が混じりだす

「き、も、ちぃ、い…はんっ」
接合部からはいつしか愛液があふれ、狼男のそれをつやつやと光らせている

ぱんっ、ちぷっ、ぱんっ、ちぷっ
狼男の息が荒くなり、腰の動きが激しくなる
「あぁっ、あぁぁぁ…!」呼応するように、尻をくねらせて喘ぐ

「う、や、乳は…だめぇっ」
淫媚な汗にまみれた巨乳を、後ろからもみしだかれると、ますます腰のくねりが柔らかさを増し、二人を絶頂へ誘う

「あぁ、もう、おかしくなるぅっ…」
「ガォ…ンッ」
限界の高まりを感じ、狼男がひときわ強く腰を打つ

どく、どくっ!どくっ!
「あ、熱い…?あ、はぁぁぁん…!」
身体の芯で、狼男から発射された液体を受けとめ、同時に達する

液体とともに、何か熱をもったものが身体に流れこんでくるのを感じた

「あぁっ、い、やぁ、熱いぃっ…ぁぁ!」

全身を紅い電流が何度も走り抜け、びく、びくっ、と肩を震わせて、最後の一滴まで全身で絞りとる

「は、は、は…はふぅ…」
上半身はすっかりへたりこみ、尻だけを高く上げて、絶頂の余韻をかみしめるケイゴ

狼男は、その柔肌の上に倒れこむと、すぅっ、と吸い込まれるように消えていった…

濡れ場1

「くっ…」
『もう少しだ』

狼男は先ほどまでの凶暴さが嘘のように、優しく全身を撫で回している
先ほどの戦いで、紅のスーツにはところどころに裂け目ができ、その中から覗くほのかに火照った肌が、淫媚に輝いている

「う、ん…っ」
ざらざらした手で胸をもみしだかれ、思わず嬌声が漏れる

「はぅっ…あぁぁ…」
(女の体ってのは感じやすい、とは言うけど…とんでもないな)

「ま、まだか…?」

『あちらは準備万端のようだが』

敵の股間には、肉棒が隆々とそびえている
(あ、あんなもの、入るのか…?)

『君の身体がまだ、準備できていないようだ』

我慢できない、とばかりに、肉棒を、くい、と身体に押し付けてくる

「…っ」
(熱くて…硬い…)

絶え間なく続く愛撫と、肉棒の感触に、全身が沸騰しそうなほど興奮するのを感じた

ざり…
ざらざらした手で、全身をなで回される
(うう、ぞくぞくする…)

『どうやら、準備が整ったようだな』

かぱ…

その言葉と同時に、紅スーツの股間に穴が開き、女性器が露出した

「…うぁ…っ」
(なんか、付いてる…!)
冷たい外気に晒され、否応なく意識がそこに集中する
ケイゴの肉体にあるはずのないもの
女体には、最も重要なその部分が、これから始まることの期待にぴく…と震えている
気恥ずかしさにもじもじしていると、ますます下腹部が熱くなってくるような気がする

「…ん。俺も、男だからな。おい狼野郎。最後にイイ女抱かせてやるんだ。しっかり仕事しろよ」

濡れ場突入

必死に抵抗するが、人でない力に捕まえられ、振りほどけない

『水を介してしか、私は移動できない』

『しかし残念ながら、彼は唾液も涙も出さない』

そんな様子に構わず、淡々と続けるスーツの精

『帰れない、と嘆いた向こうの私は、ある道を見つけた』

『性器を介して、戻って来れそうだ、とのことだ』

「…ちょっと待てぇぇ!!!」

びく、と後ずさる狼男
今の中身は、スーツと同じく気弱なようだ

「そりゃな、辛いのは分かる。協力してもらったんだ、少々のことなら、とも思う」
『そこをなんとか協力してくれ』
「いやだ、俺は男だぞ!こんなワケ分からんのに犯されてたまるか!」

『…長くはもちそうにない、と言っている』
「…!」
『止めを刺すなら、今、同化するしかない』
「逃げ…」
『る暇は、おそらく、ない』

狼男は様子を伺うように、こちらを見ている
確かに、さきほどの凶暴さを取り戻したら、再び取り押さえる自信はないが…

「痛くは、ないか…?」

『私は、私たちはできるだけ、君に協力しよう。さっきの要領だ』

「…分かった。こいつに、止めを刺そう」

第2ラウンド

『…まだだ』

ふらふらと、立ち上がってくる狼男

「どうして!ホルモンパンチが効かないのか?」
『いや、効いている』

立ち上がり、ゆっくりとこちらに向かってくるが、足取りはふらふらとしており、隙だらけだ
目だけはこちらを見ているものの、先ほどまでの殺意に満ちた感じはない
ケイゴは距離を取ろうと、後ずさる

『私の一部分を体内に送り込んだ』

『君の体を変化させたのをヒントに、内部から無力化しようと』

と、と背中が壁に当たる

『そしてそれは成功した』
「じゃあなんで…」

袋小路に追い込み、敵はなおも近寄ってくる

『帰りたい、と言ってる』
「…は?」
『寂しがりなんだ、私は』

『切り離すなんてことは、これまでしたことがなかった』
『分かれてなんて生きていけない、と言っている』

「じ、じゃあ戻ってくれば…」

ついに太い腕が、ケイゴのやわらかな身体に触れる

「は、放せ!」
『問題があるんだ』

真必殺技

びたん、びたん

「くっ…」

ケイゴは両手を大きく広げ、無数に伸びた触手が背後の床にへばりついている
触手にからめとられ、縛られているようにしか見えない

いよいよ止めを刺そうと、狼男は目前までにじりよっている

「余裕かましやがって…おい、頼むぞ」
『…あ、ああ』
「いくぜ、必殺…触手キック!」

ぱちん

全ての触手が弾け、反動を力に変えて、猛烈な速度で蹴りを放つ!

ひょいっ

難なくかわした敵は、蹴りの隙をつき、口を大きく開けて、致命的な噛みつきを

「…かかったな」
『真!』
「必殺!」
「『環境ホルモンパンチ!!』」

超人的な速度で態勢を整え、開いた口の奥、喉元にまで達する渾身の拳が炸裂した!

「ガ…コハッ」

倒れ伏し、ついに動きを止める狼男
「…か」

「…勝った…?」
『…』

必殺技2

びたん

一本の触手が、手甲から伸び、数メートル先の地面を叩いた

「…」
『…』

「打ち倒せ!」

びびたん

今度は2、3本出た

「…」
『…』

「精一杯やった?」
『ああ』

「やっぱり逃げようか」
『それは無理みたいだ』

一度は退いたが、すでに恐れる必要がないと踏んだか、余裕を持って距離をつめてくる
逃げようとすれば、間違いなく餌食になるだろう

「絶対絶命か」
『助けて!』
「ビビり野郎め」

自信はあった
攻撃手段は、必ずある…

「…よし、今度こそ!いけるか?」
『…多分』

コスチュームの精

「…敵ってなんだよ!」
『なんだよと言われても』
「お前は誰だよ!」
『コスチュームの精だ』
「俺をこんな姿にしたのもお前か!」
『多分そうだ』
「多分!!」

「ガォン!」

一見して人でないとわかる、まがまがしい姿
太い首、腕、口元には鋭い牙

『あいつに襲われてて、夢中で…』
「よわ!!」
『助けてくれ…』
「…」

こちらは、すらっと伸びた脚線美、細い二の腕
そして巨乳
半分以下だろうウエストに対し、バストトップだけは増えているのでは、と思わせる

それに比べて迫ってくるのは謎の怪人オオカミ男、腕の一振りで倒れるか、咆吼だけで吹き飛びそうだ
ケイゴは格闘技をやっていたわけでもない

「…逃げるか」
『ええっ』

必殺技

「さっき、目つぶししたり避けたりしたよな?あれ、どうやってんだ?」
『どうやっても何も、避けろとか叩けとか言ったじゃないか』
「ええ!?言ってねえ!どうして欲しいってのが、伝わってるのか?」
『そうかも知れない』
「そうか…だったらイケるぜ!」
『…?』

ざっ、と向き直り、右手で敵を指差し、不適な笑みを浮かべる
ただならぬ気配に、たじろぐ敵と、赤スーツ

「お前はたじろぐな!…いくぜ」
シン…とした静寂のなか、大きく息を吸い、気合いを込めて叫ぶ

「なぎはらえ!!」

反撃開始

「ちっ、ともかく、攻撃できないんじゃ逃げるしかねえ…あ」
『…?』
「そういや、さっき何した?」
『…?』
「さっき、食われそうになった時だよ!」
『あれは危なかった』
「黙れ!のんきすぎだ!」
『不思議だ』
「だからうるせえ!!」
『本当だ。よく覚えていないが、不思議に、なんとかなる、と思えてくる』
「~!!」
あまりのマイペースさにイラッ、とくるが、正直なところケイゴも同感だった
スーツにぴっちり包まれていると、不思議と、恐怖が和らぐのを感じていた
この環境ホルモン野郎となら…

「…しゃあねえな、出たとこ勝負だな」

言いながら、すっ、とまた攻撃を避ける
『行くか』
「おう!!」

たたかい

「無理、無理だって!」

ケイゴは脱兎のごとく駆け出すが、追い付かれ押さえこまれる

「ひ…!」
むき出しにされた狼男の牙に、恐怖のあまり叫びだしそうになる
早鐘のように打つ自らの動悸に、少し外れて、しかし早く、スーツが脈打っているのを感じる

(そうか、こいつも…)
そう考えると、不思議と落ちついてくる
目の前には今にも噛みついてこようとする口、勝機に見開かれた大きな…
(…目!)

指先から一閃、糸のような触手が狼男の目を払う
「ガッ…!」
怯んだ隙に、するり、と抜け出し距離をとる

「ワン公が、調子乗ってんじゃねえ!やってやるぜ!…おい聞いてるか、ビビリ野郎!」
『…』
「ビビるんなら人けしかけてんじゃねえ!!とりあえず手伝え、あいつをキャン言わせるぞ!」
『…あ、ああ…?』
「…おい?何やってんだ、なんか武器とか技とかないのか?早く!」

敵はこちらの勢いに、様子を伺っている
しかしすでに態勢を立て直している、すぐにまた飛びかかってくるだろう
『…ない』
「ない!?ないのか!?」
『…あぁ、ない』
『…もともとひっそりと暮らしてたんだ。こうして取り付いてみたが、それ自体どうやったかよく覚えていない』
「俺が女になってるのも?」
『性別のことはよくわからない。私が同化して君のホルモンバランスが崩れたんだろう』
「てめえ、この環境ホルモン野郎!俺の健康をどうしてくれる!」
『同化して調べた限りでは、健康状態に問題はなさそうだ』
「んなこたどうでもいい!てめえ落ち着いてんじゃねえか!」
『不思議だ』
「うるせえ!」

しびれを切らし、こちらに走りこんでくるのをなんとかかわす
勢いに呑まれたのか、攻撃にキレがなくなっている

きわどいコスチューム

汗にまみれ、上気した肢体をぴったりつつむのは、赤色を基調にしたきわどいコスチューム
水着と区別が付かないトップスには、さらに胸元のボリュームを強調するラインが入り
すっかり豊満になってしまった腰まわりは、目立つのが目的としか思えない薄布で覆われている
手袋やひじあてなど、各部が意味もなくとがっていて、攻撃的な印象を受ける
アメーバが基になっているせいか、うっすら脈打っているような気がする

何より、この全体に漂うマニアックなセンスは…
「…変身ヒロイン…」


「ガォォォォン」

敵がきた
大変だ
こんな格好じゃ戦えない
逃げないと

変身[ヒロピン][TS]

「わっ!?」
あっというまに、赤いアメーバだかスライムだかに包まれてしまい、身動きがとれなくなる
(熱い・・・!)
赤いモノは体の芯まで焼き尽くすかのように浸透する
灼けつくような熱と痛みがケイゴの全身を襲う

目の前が赤く染まり、意識を失いかけたその時、突然解放された
うずくまり、息を整えるうち、違和感に気づく
汗まみれになった胸元に見えるのは、男にはなかった豊満な膨らみ
額を拭う手は白く細く伸び
筋張った脚は陶器の滑らかさと、毛布のようなやわらかさを兼ね備えている
「これは・・・?」