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TransToach

Toachによる小説イラストブログ。 TS物を中心に書いていこうと思っています。 ばらばらに書いているので、 まとめ読みする時は小説一覧からどうぞ

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エピローグ

「いたたた…」
ケイが顔をしかめ、腰をおさえる。優しくしていたとはいえ、牛男の怪力でケイの体はあちこちが痛んでいた。牛男に別れを告げ、ぼろぼろの体をひきずりながら、街に戻ってきたところだ。

『大丈夫か?』
「大丈夫か?じゃねえ!そもそもお前がけしかけたんじゃねえか!」
思わず怒鳴ると、近くにいた人たちが何事かとこちらを向いた。

街のあちこちでは、すでに復旧作業が始まっていた。仮設テントでは炊き出しが行われ、無事な建物には人が集まっておのおの復旧への計画を立てている。道路のあちこちには、避難所への誘導員や警官が立っている。心配するまでもなく、街の人々はしたたかなようだ。

ケイはといえば、まだ男の姿には戻れていない。裸同然の破れたスーツや、戦闘スーツ姿はひどく違和感があるので、しかたなく女性用のデニムとブラウス、パンプスを身につけている。

『それはそうだが…彼も言っていたことだが、あの力はきっと君の役に立つ、と思ってな』
「そうだそれだ!やっぱりあれか、街一個壊せるくらいの怪力なのか?」

『そこまでの力が出るかどうかは分からないが…』
「ふーん。まあそれは良いや。それで?いつになったら俺は男に戻れるんだ?」

『すぐにも戻せるが、今するのか?』
「…いや、あとで良いや」

ケイは周りを見渡し、家族が心配しているだろう。はやく部屋に帰って、連絡の一つも入れてやろう。

「あ、ケイさん!!」

「いまは、この人たちの作業手伝ってるんですよ!ケイさん、このあたりの人なんですか?良かったら一緒に…」

「え、いや、家族が心配なんだ。まず、ちょっと、見てくるよ。服もこんなんだし」

「そうですか…あ」
「?」
サトシは声を落とした。近寄ると、すらっとしたケイにくらべ、小柄なサトシは自然とケイを見上げる形になる。

「さっきのこと、誰にも言いませんから。安心してください。ケイさん、スーパーヒーローってやつなんですよね?」
そういうサトシの目は少年のように、きらきらと輝いていた。これまでケイゴには見せたことのない顔だ。ケイは胸がきゅん、となるのを感じる。

(ち、ちょっとまて!相手は男で、しかもサトシだぞ!なにどきどきしてるんだ…)

「ケイさん?」
「あ…なんでもない。そ、そろそろ行くよ。がんばってな」
「はい!」

赤くなった顔を見られまいと、そそくさと立ち去るケイ。その後ろ姿を見送り、
サトシはしばらく陶然としていた。

「きれいな人だったな…俺、あんな人に助けてもらえたんだな。へへっ」

やがてケイが見えなくなると、サトシは笑顔のまま、作業に戻った。

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