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TransToach

Toachによる小説イラストブログ。 TS物を中心に書いていこうと思っています。 ばらばらに書いているので、 まとめ読みする時は小説一覧からどうぞ

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ホルモンガール、華麗に参上!

ケイゴが建物から出てくると、商店街の破壊はさらに進んでおり、建物の数は半分くらいの数に減っていた。残ったものもそのほとんどに亀裂や穴がある。

音を頼りに牛男を探しだすと、逃げ遅れた人に、いまにも腕を振り下ろそうとしている姿を見つけた。

「た、助けて!!!」

青年がこちらに気付き、大声で助けを求めると、牛男もそれにつられてこちらを向いた。

その隙をついて、ケイゴの腕から数本の触手が伸び、青年の身体を素早く引き寄せる。ケイゴのスーツはもともと、同居人である赤スライムでできており、触手を自在に操ることができる。

(…!サトシじゃないか!)
逃げ遅れた青年が、先ほどまで自分と共にいた同級生、サトシだと気づく。

「モオォォォ!」
牛男がいかにも牛男らしいおたけびをあげる。同級生だろうがなんだろうが、とにかくここから逃がさないと。なりふり構ってなどいられない。ケイゴはサトシを小脇にかかえると、全速力でその場を離れた。

「ありがとうございました、お名前を聞かせていただけませんか?」

「…え」
サトシを安全な場所まで避難させ、あとは牛男を退散させるだけ、というところで、ケイゴは意外で小さな窮地にあった。

「えっと…」
さすがに、こんな姿で、同級生相手に本名を名乗るわけにもいかない。ケイゴが困っていると、助け舟が出た。

『ホルモンガール、ケイだ』

「…えーと」

『女性でケイゴというのもおかしいだろう』

「け、ケイと言います。あいつ、こっちに来るかも知れません。さあ、早く逃げて!」

「はい!」

サトシが逃げだしたのを見届けると、ケイゴ…ケイは、きっ、と宙をにらんだ。

『ホルモンガール…』
「うるさい!気に入ったのか?それより、さっさとあいつを追い払うぞ!」

再び、牛男の前に立つケイ。一度邪魔をされているからか、ガレキを踏み砕きながら、平らになった商店街を一直線に向かってくる。あまりの勢いに、思わずたじろぐケイ。

「うわっ」
『…とりあえず、人気のないほうに逃げよう』
「…そうだな」

ぶんっ

踵を返したケイの耳を、石の塊が猛烈な速度で通りすぎる。牛男が足下のガレキを投げつけてきたのだ。

「うわ、危なっ!」
『とにかく走れ!』
「おう!」

降り注ぐ石の雨の中を、全力で駆け続ける。幸か不幸か、牛男はこちらを敵、と認識しているらしく、石やら何やら投げつけながら、真っ直ぐこちらへ駆けてくる。

「うまくいったか…?」
『どうやら、そのようだ』

市街地を外れ、山の中まで逃げた後、ケイは牛男の隙をついて木の上に逃げた。枝葉が目隠しとなり、牛男からは姿は見えないはずだ。牛男は、ケイがそちらにいると思ったか、山の奥へ奥へと走っていった。

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