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TransToach

Toachによる小説イラストブログ。 TS物を中心に書いていこうと思っています。 ばらばらに書いているので、 まとめ読みする時は小説一覧からどうぞ

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幕間 朝

俺はケイゴ。ごく普通の大学生だ。今日は俺の休日を紹介しよう。

朝。日が低いうちに規則正しく目覚める。早起きは三文の得だ。一般的に言って何が得になるのかは分からないが、少なくとも俺にとってはそうだ。手早く着替えて、時間通りにジョギングに出かける。

「おはようございます」
「おはようございます!」
いつもの公園に着くと、いつも通りに女性とすれ違うので、大きな声で挨拶をする。同い年くらいだろうか。今時珍しい、清純そうな女性だ。挨拶以外のことを話したことはないが、この挨拶のために早起きしているといっても過言ではない。

走ったし、大きな声も出したし、目の保養もしたし、気分爽快になったところで日課の訓練を始める。といっても普通に筋トレをするだけなのだが。しかしこれは立派に戦闘訓練で、その戦闘がどういうものかについては後で述べる。

わん、わん。
腹筋をしていると、小さな犬が俺の腹の上に乗ってくる。ここを遊び場とでも思っているのか。飼い主の姿は見えない。しばらくしてもどく様子がみえないので、邪険にして追い払った。

訓練を終えて家に向かう途中、俺は決まってトイレに入る。「ぐっ…」とかうめき声をひとつたて、出てきた時には俺は全身赤ずくめの、バリバリの戦闘モードになっている。紅のブーツにゴーグル、髪も肩あても燃えるように真っ赤だ。正直かっこいい。これで邪魔な胸がなかったり、腰が妙に細くなってなかったり、でかい尻を包むのがが水着みたいな薄い生地だったり、お腹がまる出しでなかったりしたらもっと良かったのだが…。念のために言っておくと、俺は正真正銘の男だ。

『来たぞ』
こいつが変身させる前は。こいつはどろどろのスライムみたいな体で、遺伝子を自由に操作し、肉体に瞬時に反映する力を持っている環境ホルモン野郎だ。変なきっかけで命を救ってやってから、こいつは俺に寄生しやがった。こいつの力で俺はヒーローに変身できる。その力で街を救ったり、親友を救ったりしたが、我慢ならないのは変身したあとの俺の姿が女だってことだ。それも、かなりのイイ女だ。俺の目の前に来るならまだしも、自分がイイ女になったところでどうしようもないし、ヒーローとしての自信が少しなくなる。

『どうした?』
「いや、なんでもない」
少し感傷にひたってしまった。今は目の前の敵に集中しなければ。毎日決まって、俺の訓練の帰りを待っているかのように、同じ敵が現れる。姿形は黒ずくめの女なのだが、これがめっぽう強い。黒ずくめだし、悪そうだし、放っておいたら何をするか分からないので、早いこと倒さないといけない。毎日の訓練はこいつを倒すためにあるようなものだ。もちろん俺としては、ジョギングのおねえさんと挨拶をする方が大事なのだが。

しかし実のところ、この勝負に俺は負け続けている。にもかかわらず俺が生きているのは、いつもこちらがボロボロになり、とどめを刺される、というぎりぎりのところで拳を納め、勝ち誇って去っていくからだ。とことん馬鹿にされているようで、正直くやしい。大体一体全体あれは何なのか。

ともあれ、今日こそは、との意気込みで俺は黒女に襲いかかる。遠間からマントをひるがえすと、無数の触手が黒女を絡めとろうとマントの陰から伸びていく。俺の基本的な攻撃方法だ。触手とは大変いやらしいようだが、ホルモン野郎がそれくらいしか攻撃方法を持っていないからだ。それに、絡めとった後のことは考えていない。というのも、触手はたいへん弱弱しく、いつも全て叩き落されるからだ。今日もそれだった。2,30本はあった触手が、簡単にはたき落とされてしまう。何本かは届いて、腕や脚に絡みつこうとするが、苦もなく引きちぎられてしまった。

攻撃が失敗した俺は、距離を空けて体勢を整えようとする。と、足を引っ掛けて転んでしまった。その隙に黒女に組み伏せられる。黒いマスクの下は美人そうかも、とか考える前に一発、二発、と蹴られ、踏まれ、膝を入れられ、呼吸ができなくなる。身体から、力が抜けていく。き、今日も、勝てないのか…?

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